NIGHTSCAPE Mail Calendar Instant Messenger Search MyNetscape Download
HOME > クラブマニアックス > 渋谷クラブ事情 No.07
渋谷クラブ事情  No.07 PYLONの戦略(補足) (02/27/2000)
<< previous   next >>
☆☆☆ 前章までの補足 ☆☆☆
 前回までPYLONについて解説してきましたが、ここで補足をしておきます。 
PYLONは今まで様々な提携を結んできました。例えばメディアでいえば雑誌「egg」、日サロ(日焼けサロン)でいえば「Blacky」、そしてレーベルでいえば「avex trax」です。PYLONターゲット層にのみに対して強く働きかけるためにPYLONは最強のチームを組みました。そう、最強のビジネスチームです。今挙げた「PYLON」「egg」「Blacky」「avex trax」の4社は全てシナジーを生み、そしてその恩恵を享受しています。つまり、1+1+1+1=4ではなく、1+1+1+1>4 なのです。それぞれが力を合わせることによってさらに収益の拡大が図られる。これは誰でも考えれば分かる事ですよね(子供でも分かるはず)。しかし、クラブというアングラな風潮のカベを打ち破ったというところは評価すべきところです。 
 しかし、これはもちろんビジネス的に全く新しい手法でも、業界で初めての試みでもありません。みなさんの記憶にあるはずです。以前これ以上の最強のチームを組んだお店があったことを。そう、「Julian's Tokyo」です。 
ジュリアナブームは日本各地に広がりました。ディスコの本家ともいえるマハラジャまでもが巻き込まれました。大阪ミナミのダイアモンドビルにあるマハラジャウエストも、マルビルマハラも、京都祇園マハラも、神戸キングアンドクイーンも、全てに2メートルクラスのお立ち台ができました。ちなみに神戸キングアンドクイーンでは、毎週末ストリップ顔負けのパフォーマンスが繰り広げられていました。水着などではなく本当の素っ裸でみんな踊っていたのです(もう時効でしょうから大丈夫ですよね(笑))。当時は「本当にこの時代に生きててよかった」と思ったものです(爆笑)。あのマハラジャ(NOVA21グループ)すらもあがなえなかった空前のブームは、完全にマルチメディア戦略の勝利です。経済効果数百億といわれたあのブーム。もちろんみんな覚えているはずです。 
そのブームに比べればPYLONはスケール的にも盛り上がり的にも規模が小さいということは否めません。しかし、PYLONの特筆すべき点は、あの小資本でここまでの盛り上がりを作り出したということなのです。つまりROI(投資回収率)という点において、100%ならばトントン、つまり損得なしです。100%を割れば損、超えれば儲けです。現在のこの景気状態において、年間収益率3%ならば十分に投資意義があります。つまり、小資本高収益のPYLONを1つの投資対象としてみたときに、大きな魅力があるのです。 
 今までにもいい盛り上がりをしているお店はありました。しかし、投資対象としては・・・投資材料が乏しかったのです。わざわざ企業が手を組もうと思うほどの規模でもなかったのです。しかしPYLONは週末2日間の営業で、たかだか1000人程度の動員数ですが、投資するには好材料が多く、パイの広がりがとてつもなく広かったのですね。 
既存のクラバーにしてみればPYLONは「クラブじゃない」と言われますが、しかし企業にしてみればクラブであろうが、ディスコであろうが、子供の集会場であろうが何だっていいのです。しかしそうはいっても企業がより収益を上げるためにはイメージ戦略も大切です。そこで「都内No.1盛り上がりクラブ」と冠打ったわけですね。 
 蛇足ですが、こういうイメージ戦略は宇多田ヒカルを見ればよく分かると思います。彼女は決してR&Bアーティストではありません。まず当初、USで売り出すためには確固としたジャンル付けが必要だったのです。POPSとして売り出してしまうと競争が激しすぎます。ビルボードトップ100になど、どうあがいてもランクインできません。そこで比較的競争の緩やかなR&Bを選んだのです。そしてめでたく、CUBIC-u(宇多田ヒカルのUSデビュー名)はランクインしました。しかしそれでもUSの厳しい競争の中でディファレントカラード(違う肌の色、つまり黒人ではない)の宇多田ヒカルが話題性だけでこれから生き残っていくのは無理です。そこで、全くジャンルが確立されていない日本を新たな舞台に選んだのです。「本格派R&Bアーティスト」として日本でデビューし、その後の成功は皆さんの知るところとなりました。イメージというのは一度作られてしまえばそれがもうスタンダード(標準)になってしまうのですね。 
 では本題に戻りましょう。もともとクラブというのはハウス、テクノといったダンスミュージックが基本でした。故にオールミックスなどは一段低い目で見られていたわけですね。これはDJの質によるものです。何でもかけるオールミックスよりも、ハウス、テクノDJの方がリスペクトを集めていたからです。こういう風潮すら企業の利益追求マインドは打ち壊しました。これによって、他のオールミックスのお店も賑わう事になったのです。全国的に。 
 しかし、今、ジュリアナはありません。そしてPYLONも・・・何故なのか。1つには、新しさがなくなったという事が挙げられます。 
次々と新しい時代を創造してきたものにはさらなる期待が寄せられます。これは宿命ですね。もう期待に応えられなくなった時、それが終末です。しかしPYLONは、期待に応えられなくなったのではありません。ミラー氏が健在なうちは、次なる新たな出発が大いに期待できます。渋谷クアトロにもPYLONショップができました。また、新たなコンセプト作りには新しいお店での再出発のほうが独自色を打ち出しやすいでしょう。そう、第2幕がこれから始まるはずです。大いに期待できますね。 
しかしここで疑問が1つ浮かんできます。何故絶頂だったはずのPYLONがあえて新たなコンセプトを創造するのか?その必要性は・・・?
Home  -  Site Map  -  Advertise with Us  -  Contact Us