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渋谷クラブ事情  No.11 オーディエンス分析(1) (06/09/2001)
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今回から数回に分けて「オーディエンス分析」を題材に話を進めていきます。オーディエンス、クラウド、と呼び方はいろいろありますが、要はクラブ入場者、とりわけここではクラブ入場者市場に的を絞ります。 
クラブイベントなどのオーガナイザーにとって生命線であるはずのこのオーディエンス分析は、必要不可欠であるとともに難解な分野でもあります。この分析手法の解説が、思うように集客効果が現れていないイベントプロモーションに悩むオーガナイザーのお役に立てれば、と思います。 
 まず図を説明します。x軸に市場のクラブに対する興味度合いy軸にクラブにくる頻度を設定します。どちらも外側に行くほど値は大きくなります。そして(x,y)(少ない,少ない)層をA(多い,少ない)層をB(多い,多い)層をC(少ない,多い)層をDとします。 
 クラブに対する興味が強いという事(x軸)は、イベントのジャンル、クオリティー、そしてサウンドシステム、音質など本質的なものによって影響を受けやすいといえます。 
逆にクラブに対する興味が弱いという事は、あまりこだわりがなく楽しめればいいといった、概念的なものに影響を受けやすいといえます。 
 クラブによく来る(y軸)という事は、ほぼ同額の対価と時間を費やす他の選択肢よりもクラブの優先度合いが高いといえます。他の選択肢にはショットバー、居酒屋、激安キャバクラなどが挙げられるでしょう。もしくは予定外支出であってもあまりいとわない層も含まれるかもしれません。 
クラブにあまり来ないという事は、他の選択肢の中でクラブの優先度合いはそれ程高くはないといえます。もしくは予定外支出に対して敏感、もしくはそれを好まない層も含まれるでしょう。 
A、B、C、Dをそれぞれ分類するとすると、オーディエンスのライフサイクル循環は以下のようにあてはめる事ができます。 

A: デビュー期
B: 成長期
C: 成熟期
D: 衰退期

そしてオーディエンスのライフサイクルをA-B-C-D-Aと移動していくと仮定した場合における仮説を考察してみます。 
 1. A-B
クラブというものを何らかの媒体(テレビ、雑誌などのメディア、友人からの口コミなど)から知り、クラブに対しての興味が生じてきた段階といえます。クラブ遊びに足を踏み入れた段階といえるでしょう。 
 2. B-C
何度かクラブに行くうちに楽しくなって足しげく通っている状態です。いわゆる「ハマっている」状態といえるでしょう。この場合においてはすべての要素が好循環で回っていることが多いでしょう。 
 3. C-D
以前ほどクラブ遊びを楽しいとは思ってはいませんが、「とりあえず」惰性でクラブに来ていたりします。この場合は、流行のトラックスや動向などにもあまり興味は示さないようになります。この時期になると「ほんと、みんな若いよね。」というセリフが口を突いて出てくるようになります。 
 しかし反面、落ち着いて遊べているともいえます。この場合はつまり、冷静に自分の意志でクラブという選択肢を選べていると思われます。 
 4. D-A
本当にクラブに対して興味を失うと、当然のことながら足が遠のきます。B、C、DのどこからでもこのAに転落した場合、その後の各ポジションへの復帰はかなり難しくなるでしょう。 
 しかしあくまでもこれらはライフサイクルの単純モデルでしかありません。よってオーディエンスの詳細な行動は、このマトリクス上では解析不可能です。単純なIS/LM曲線のようなもの、と考えていただければわかりやすいでしょう。 
 分析に必要な「座標分割」「座標移動」、そしてこれらをもとにした「仮説証明」といった概念は学ぶことができました。 
あくまで2次元単純モデルは分析概念を学ぶものであって、それを根拠として立てた仮説を実際のビジネスに用いるのは危険です。なぜならば、x、y軸で定めた各要素はあまりにも漠然としすぎており、オーディエンスを分別するには少なすぎるデータ群だからです。 
 例えばx軸の「クラブに興味がある」という要素ですが、クラブ自体に興味があるのか、それとも特定のハコ(お店、店舗)に興味があるのか、もしくは特定単体イベントに興味があるのか、さらにはお目当てのDJのみに興味があるのか、一体どれなのかは全く識別されていません。 
ひょっとしたらクラブというよりもダンスミュージック等に興味があるのかもしれませんし、クラブ自体ではなくそこに来ている女性目当て(ナンパ目的)かも知れません。よって、漠然とした分析手法で導き出された様々な結果は、曖昧で信頼性の低いものになってしまいます。 
しかし2次元単純モデルといえども、そこから確実に得られる成果というものも少なからずあるのです。 
例えばマトリクス上のCとDのグループは、共にクラブによく行きます。しかしCはクラブに対して強く興味があるのに対し、同じ頻度でクラブに行くDグループはそれ程クラブに対する興味自体は強くありません。 
という事は、CとDではクラブに行く動機に違いがあるのかもしれません。動機が違うという事は、それぞれ(CとD)の欲求の性質に違いがあるという事と考えられます。という事は、C、Dの両方においてあるクラブイベントのプロモーションを行う場合、異なるアプローチをするべきだという事が読み取れます。 
 例えばクラブ(系)に対して興味が強くクラブにくる頻度も高いCグループ層というのは、独自の価値判断基準によってある一定のクオリティーを求めていると推測できます。あぜなら、毎夜星の数ほどあるイベントの中から自分に合ったモノを取捨選択して参加するという行動をとる人種は、まず間違いなくCグループに属するといえるからです。(注: クラブに行く頻度が低ければBグループです。ここでは単にCとDを比較しています。)
つまりCグループは固定客層といえるでしょう。 
対してDグループというのは、はっきりとしたこだわりみたいなものが薄い層だといえます。友人の誘いやフライヤーの謳い文句に行動が左右されやすいといえます。つまりDグループは浮動客層といえるでしょう。 
同様の概念を用いてA、Bを分析すると、Aは不活性客層、Bは不規則客層といえます。 
専門的には全く役に立たないと先述した2次元単純モデルですが、アバウトながらオーディエンスを不活性客層、不規則客層、固定客層、浮動客層と4分割できました。このようにオーディエンスを分割することによって、営業サイド的なプロモーション戦略策定のベースとして活用できます。例えばイベントを予算の規模によって重点的にアプローチをかける層を決め、余った予算を次点に回すといった予算配分の最適化が図れます。 
もちろん予算だけではなく、人員配置についても同様の参考データを供給できます。つまり総合的なリソースプランニングの参考データとして活用できるのです。これらのデータ群は、組織における次になすべき行動の指針を示すことができます。 
つまり原始的な分析手法であったとしても、その分析の結果によって取り組むべき課題や問題点を見つける事ができます。 
 このようにオーディエンス分析には有用な部分がたくさんあります。分析に用いる要素数を増やし、オーディエンスの細分割ができれば分析精度は飛躍的に向上します。次節では要素数を増やした分析、「多次元分析」について解説します。

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