NIGHTSCAPE Mail Calendar Instant Messenger Search MyNetscape Download
HOME > クラブマニアックス > クラブ遊びのススメ No.12
クラブ遊びのススメ  No.12 クラブとディスコの違い(2) (07/01/2000)
<< previous
 実はクラブとディスコの違いについてなどというコアな題材なんて、誰も興味が無いだろうと思っていました。僕的にも、「別にクラブであろうがディスコであろうが、そんな事はどうでもいいんじゃない。」と思っていました。この日本という独自のプラットフォームにおいて、既存の枠に当てはめる---カテゴライズなんてあまり意味が無いかな、と思っていました。 
 しかし純粋に素朴な疑問はみなさんお持ちのようです。「クラブ」、「ディスコ」、どちらも踊る場所として一般に認知されています。しかしこの両者には厳密な違いが有ります。それは本場のUSやヨーロッパでの両者の違いも、そして日本独自の両者の違いもあります。まずはクラブとディスコのルーツを簡単に紹介します。 
 まずは分かりやすいディスコからです。このディスコのルーツはキャバレーです。いまどきキャバレーなんて知ってる人はもう少ないのではないでしょうか。日本では昭和40年代ごろに全盛を極めた水商売(風俗娯楽店)の形態です。50歳ぐらいの元遊び人(もしくは現役)の方が身近にいれば、当時のキャバレーの様子を聞いてみるといいでしょう。 
この形態のお店の特徴としては、豪華な内装や調度品が揃い、そしてショーや生演奏ができるステージがあり、その方向に向かって客席がセットされています。 
そして後方(もしくはステージの目の前)にダンスフロアーがあり、そこで客は踊る事ができます。洋画などでは今でもよく見かけますので、なんとなくイメージはできるのではないでしょうか。 
日本においてのキャバレー文化では、ダンスはサンバルンバタンゴチークといったものが当時人気だったようです。現在ではショーパブがこの流れを受け継いでいるといえるでしょう。 
このキャバレーはもう今となっては絶滅寸前となっています。都内では新宿歌舞伎町に「日の丸」というキャバレーがありますが、ここぐらいが当時の面影を残しているのではないでしょうか。蛇足ですが、当時の都内のキャバレー激戦区は池袋だったようです。 
しかし現在でもホスト系クラブではこのキャバレーの流れを受け継いでいるところは多く見うけられます。特にライトな料金システムでOLに人気の「サパー」がこれに近いでしょう。 
 このキャバレーの小箱を指してアメリカで「discotheque」といわれていました。このdiscotheque(ディスコティック)を縮めて「ディスコ」となったのです。小箱だと大掛かりに有名人を呼んでショーなどをやる事は経済的に難しく、かといって店内が静かだと客は寄りつきません。そこで演奏をかけて客を躍らせる事をメインに経営していく事が最も合理的となります。 
そして、ゆったりとくつろぐ所をキャバレーと呼び、踊りに行く所をディスコと区別するようになったのです。ですからディスコの店内はコンセプト的にも、ゴージャスできらびやかなものになるのです。このディスコのルーツや定義ははっきりとしており、この発生経緯が唯一無二のものとなっています。 
 明確なルーツを持つディスコとは対称的なのがクラブです。この現在のクラブのルーツには諸説入り乱れているのが実情です。クラブ発生の経緯は大きく分けてデトロイト説シカゴ説ニューヨーク説に分かれます。 
 まずは僕的に最も好きなデトロイト説から紹介します。デトロイトはアメリカのイリノイ州南部にある世界有数の自動車産業の盛んな街です。この街の労働者の多くは主要産業の自動車工業に従事していました。毎日朝から晩まで油まみれになりながら、安い賃金で過酷な労働を余儀なくされていました。1980年代に入るとアメリカは深刻な不況に見まわれ、失業率は上昇する一方でした。 
この過酷な毎日の生活の中でほっと一息つける時というのは、やはり仕事の後の一杯を飲む時です。工場近くの安酒場は毎日労働者であふれかえっていました。 
しかし毎日のストレスは安酒をあおるぐらいではすんなり解消されません。狭いバーで踊るとすぐに客同士でケンカが始まります。かといってナイトクラブで遊ぶお金もありません。そこで彼らはどこか自由に飲んで踊れるような場所を自分達で作ろうと思い立ったのです。 
思いもよらず、すんなりとその場所は見つかりました。彼らが毎日働いている工場の空きスペースです。この仕事が終わって誰もいなくなった自動車修理工場を、彼らは仕事の後の楽しみとして使うようになりました。 
みんなが思い思いのレコードをかけ、酒を飲み、踊り明かしていたのです。これがデトロイトで始まったとされるクラブの原型です。当初は労働者の大半を占めていた黒人の好みによって、ソウルが全盛だったようです。そして宴を重ねていくごとに、より踊る事を目的とした音楽のアレンジを考える人達が出てきました。自分達の馴染みの有るソウルをベースに、リズムの取りやすい音楽を作り出していったのです。これがハウスミュージックの始まりです。こうして一部の労働者の楽しみとなっていた工場での宴は次第にうわさを呼び、参加人数も増えていきました。すると今までの工場でも手狭になってきました。そこで彼らは場所を工場から倉庫に移しました。倉庫ならばかなりの人数が収容できますし、大きな音で音楽をかけても誰の迷惑にもなりません。 
蛇足ですが、ハウスミュージックは当初ガラージと呼ばれていました。英和辞典を引けば分かると思いますが、garageの訳には自動車修理工場という意味も有ります。つまり、動車修理工場で生まれた音楽なのです。またハウスミュージックハウスとは、warehouse(倉庫)から来ているとも、踊る場所「house」と呼んでいたからとも言われています。 
 次にシカゴ説、ニューヨーク説ですが、この両方は場所の違いは有るのですが内容はほとんど同じです。キャバレーから派生した会員制ナイトクラブがルーツと言われています。シカゴ、ニューヨーク共にアメリカきっての大都会です。都会の洗練された遊び場の進化形としてナイトクラブから発展して現在のクラブとなったという説です。 
現在のクラブの店舗形態のルーツからすると、この説が一番説得力があるでしょう。しかし、クラブカルチャーの発生というものまでを含んだ部分では、僕はデトロイト説を支持します。 
ドライに分析してしまうと、現在のクラブは(注1)ハイブリッドであって何か1つのものだけを唯一の根源に持つものではない、と結論付ける事ができるのではないでしょうか。 
 このように、ディスコとクラブはルーツ、ヒストリー的には全く違ったものです。しかし現在ハイブリッド化が進んでいる中では、この両者の違いはあいまいになってきていると言えるでしょう。クラブのディスコ化は時代の流れです。一昔前などではクラブでミラーボールが回っているなど考えられませんでしたが、今では照明などのビジュアル面にどこもかなり力を入れています。 
クラブとディスコは、ルーツやヒストリーの違いはありますが、「酒を飲み、踊る」という人間の本能的欲求を満たす場所という大きな共通部分があります。それ故、おのずと違いはあいまいになってくるのではないでしょうか。 
 次回は現在の日本におけるクラブ全盛とディスコ衰退を視野に入れて、クラブとディスコの違いを挙げてみます。 
 注1:ハイブリッド(hybrid)・・・雑種、異種交配という意味で、純血ではなく様々な分野の要素を含んでいるという事です。
Home - Site Map - Advertise with Us - Contact Us